40歳過ぎのこと。
「足が動かない…」
と、突然の病に侵されました。
いえ、病ではありません。
今までのように、軽やかにボールに追いつけない。
すぐそこにあるボールを取るのも、一苦労。
そんな、足が衰えた自分を発見したのです。
当時は…
「元日本プロテニスランキング7位で、
伊達、松岡、杉山、沢松等、
数々の日本代表選手を相手にやってきた。
なので、今どきのジュニアや、
トップでもない選手に負けるほど、やわな足腰ではない!」
との自負がありました。
でも、当時指導していた
12歳と15歳の女子のボールに追いつけず。
練習相手の日本ランキング下位プレーヤーには、
エースを連発で喰う。
こんな屈辱的な日々が続くので…
「えっ、なんで?」
「どこか、体に異常があるの?」
と、思い込んでいたのです。
どこも、異常はありませんでした。
それでも、来る日も、来る日も、エースを取られる。
ボールに追いつこうと頑張るが、追いつけない。
「まるで、ゾウの足になったみたいだ。
およそ自分の足ではない…」
という、ジレンマだけが続いたのです。
2ヶ月ほどして、諦めがつきました。
「これは、体調不良でもなんでもない。
単に、加齢で足が衰えたのだ。」
受け入れがたい事実を、
真正面から受け入れた瞬間でした。
そう、長年、支配する側でテニスをしていたのに、
いつの間に足が動かず支配される側に追い込まれていた。
こんな切ない現実が、容赦なく襲い掛かってきたのです。