こんにちは、元オリンピック強化スタッフ、並びに元日本代表コーチを務めました田中信弥です。いつもテニス上達に熱意を注いでくださり、本当にありがとうございます。同じ嗜好を持つ者として、かなりの親近感を持っています。また、テニス界発展を願う立場としては、感謝せずにはいられません。これからもよろしくお願いいたします。
さて。今からご紹介する、「瞬間直し(R)実践会」の“とある会員様”がご経験された実話には、真剣に目を通していただきたい と思います。なぜなら、あなたのテニス上達を、地に足つけた“どっしり”したものにし、誰からも後ろ指をさされないまま前に進むには、避けては通れない重要問題を提起してくださったからです。
この問題に無関係なテニス競技者は、誰一人いません。もちろんそこには、世界トップ選手、私も含まれています。「善は急げ!」です。ジックリとお読みください。
「ボールに入りきれないから、
ミスするんだよ!」
東北にも遅い春が訪れ、さわやかな風が心地よく感じられるようになった、とある日曜日。緑が生い茂る、いつもの公営コート。最近、うなぎ上りに上達してきたKさんが練習していると、だみ声のアドバイスが飛んできました。
声の主は、Kさんの先輩。学生時代からテニスをしていて、ランキング保持者。勉強熱心で、知識欲も旺盛なため、昔から頭が上がりません。
「えっ? ボールに入るってどうゆう意味ですか?」
意気揚々とテニスを謳歌していたKさんは、「また先輩に、何か問題点を言われるんだ」と、内心少しドキリとしながらも、反面、成長できる喜びもどこかで感じ、いつもより少し高い声で聞き返しました。
「えっと、ボールに入るっていったら、あれだよ、あれ。ん~、つまりだな・・・お前の打ちやすい場所、そう、そう、ストライクゾーンでボールを打つってことだよ。」
決して理論派ではない先輩。最後は、お得意のイメージ力を生かし、「どうだ!」とばかりに渾身のアドバイス。
その顔を、まじまじと見つめていたKさんは、
「ということは、今はストライクゾーンで打っていないということですか?」
さらに先輩に顔を近づけながら、聞き返しました。
「おいおい、顔が近すぎるぞ。」と先輩。
しかし、その声は届かなかったのか、Kさんは先輩の顔を見つめたまま、何かを考えている様子でした。
「・・・確かに最近はフォームが良くなり、それなりに上手く打てている。でも、なぜか試合になると、練習ではしないミスを連発する。 あれは、一体、何なのだろう?
やはり先輩が言うように、ストライクゾーンで打てないからだろうか? それともまだ、他に問題があるのだろうか?いずれにしてもあのミスで、何度も何度も惜しい試合を落としたなぁ。思い出すだけでも心が痛い。もう嫌だ、あんな痛みを感じるのは。あぁ、もう本当に・・・二度と嫌だ!」